片頭痛
片頭痛

今回は片頭痛という疾患の話です。
ただしこれは繰り返し起こる慢性の頭痛です。急性の強い頭痛は緊急疾患ですので、今回の話には含まれません。緊急性のある頭痛は脳外科のある病院へ紹介が必要です。
頭痛持ちという方は多いと思います。頭痛の原因はいろいろなので頭痛持ちの方がすべて片頭痛ではありませんが、その中に片頭痛の方が含まれているのです。
ある統計では日本での片頭痛有病率は8%くらいとされていますが、前兆のない片頭痛は診断が難しかったり、頭痛があるのが当たり前だと思っていて病院に来られなかったりということで、診断されていない方が多くいて、実際の有病率は20%(5人に1人)くらいではないかと言っておられる専門家の方もおられました。
片頭痛のかたは時々頭痛が起こるのが当たり前と思っていて、あまり病院に来られませんが、じつは世の中の人はふだん頭痛のない世界で暮らしているのです。
もちろん風邪をひくなどしたら頭痛はするのですが、日常的に頭痛がするというのは実は病気かもしれないのです。
片頭痛の特徴は
そのため頭痛があるときは寝込んでしまう人が多いです。
などがあります。
片頭痛というだけあって頭の片側が痛いことが多いのですが、両側が痛むひともいます。
中には前兆(多いのは視野の一部が白く抜けてその周りに色とりどりのギザギザとした光が見える)があって、その後に発作が起こるという人もいます。
気圧変化との関連も言われていて、天気の変わり目で痛くなるひとが多いのも特徴です。
他にチョコレートやお酒(特に赤ワイン)などで頭痛が起こるひともいます。
ただし、これらの特徴を片頭痛の患者さん全員がすべて満たしているわけではありません。
この前はお酒で起こったけど今日は飲んでも大丈夫だった、など日によって症状、誘因に変化があるときもあります。
この話を読んでいくつか当てはまるかもと思われた方は神経内科へ受診するか、当院にご相談ください。
原因についてはまだ判っていないところもありますが、脳の血管とそこに行っている神経の両方が関係しているという説が有力です。
私が医師になった頃は「血管説」が有力で、血管が収縮した後で拡張することで起こるという話でした。実際血管を拡げる作用のある薬を使うと、片頭痛の患者さんで頭痛発作が誘発されます。これを基に開発された薬がトリプタン系などで、この薬は片頭痛発作を抑える薬として非常に有用で、現在も治療の中心となる薬です。
ただ、それだけでは説明できない事象があるということで、提唱されたのが「三叉神経血管説」です。血管に分布している神経の作用で血管拡張が起きる。その時に痛覚刺激が脳に伝わるという説です。神経から神経へ刺激を伝える物質を神経伝達物質と言いますが、この経路で働く物質としてCGRPというものが考えられていて、それに対する抗体をつかった治療も行われ、良い効果を上げています。
まだ完全な病態解明には至っていないようですが、判っている理論を元に薬が開発され、片頭痛の治療は進化しています。
軽症の片頭痛の場合は通常の鎮痛剤でも十分効果が得られます。
市販の鎮痛剤などで対応している方は多いです。それで頭痛が治まる人にはその治療を継続してもらっています。
ただし、あまりに頻度の多い人は要注意です。頭痛というのは不思議で、じつは鎮痛剤を常用していると、それによって頭痛が起こるひともいるのです。あまりに頻度の多い人は専門機関への受診をお勧めします。
通常の鎮痛剤では治らないひとにはトリプタン系というお薬を使います。
1錠あたり数百円と高額なので、迷われる方もいます。
毎日飲む薬ではなく、頭痛が起こるときに飲むだけなので、頻度が極端に多い人以外はさほどの高額治療にはなりませんが、やはり経済的負担はあるので、自分の症状の強さ、特にどのくらい日常生活に悪影響があるかで判断されると良いと思います。
ちなみに、この薬は血管収縮作用があるので、狭心症の患者さんでは使えません。
狭心症の方は血管拡張作用のある薬を使う機会が多いので、片頭痛持ちの狭心症患者さんはかなり苦労します。そういった方にジタン系という血管収縮作用がほとんどない薬も開発されています。ただ、知人の神経内科医によるとトリプタン系より効果発現がやや遅い印象だそうです。トリプタン系は発作早期に服用しないと効果が悪いですが、ジタン系は遅れても有効なことが多いという良い面もあります。
月に2回以上の発作があるひとは予防治療が推奨されています。
副作用が少なく使いやすい薬から抗てんかん薬など使い方に少し注意が必要なもの、注射剤などあります。
高血圧の薬などよく使われている薬の中にすこし予防効果がある薬もあり、片頭痛もちの高血圧の方ではそういった薬を選択することもあります。
発作頻度が月4回以上の方は注射薬を考慮します。
注射薬は神経内科医(最近は脳神経内科医といいますが)、脳神経外科医などに処方が限定されていますが、効果的です。
その方の状態によりますが、良く効いたひとの中には「頭痛があるのが当たり前だと思っていた。頭痛がないのを経験して、世界が変わった」と言われた方もいるそうです。そこまでではない人でも発作頻度は著明に下がることがおおく、生活の質を大きく下げる片頭痛の治療ではこの薬は画期的な効果を持っています。
ただ、皮下注射で量も少なくないので痛みはあり、片頭痛の痛みと注射の痛みのどちらをとる? という選択になりますよね。
注射薬希望の方は神経内科のある病院へ紹介します。
最近、注射剤と同じところに効く内服薬が開発されました。ただ、注射剤の代替ということで、月の薬の価格は注射剤とほぼ同じでかなり高額の治療になるそうです。
類縁疾患に「群発頭痛」といって目のまわりの強烈な痛みが起こる病気もあります。
そちらに関しては頻度も片頭痛に比べて少なく、治療もやや専門的です。
そういった専門的な評価が必要な疾患や難治性の片頭痛で注射での治療が必要な方は神経内科のある病院へ紹介をしています。
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