肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌ワクチン
新しい肺炎球菌ワクチンが2025年10月末に発売されました。
成人(特に高齢者)の市中肺炎(自宅で暮らしている方に起こる肺炎)の1/3くらいの原因となる細菌です。肺炎球菌ワクチンで名前を知った方も多いと思います。
肺炎球菌ワクチンと聞くと肺炎球菌での肺炎を全部防いでくれるように感じられると思いますが、残念ながらすべての肺炎球菌に有効という訳ではありません。
コロナウィルスやインフルエンザウィルスにいろいろな型があるように、肺炎球菌にも多くの型があり、100種類以上あると言われています。
ワクチンはその一部に効果を発揮しますが、ワクチンの種類によってどの型をカバーしているかは異なります。
現在使用可能なワクチンは大きく分けて二つに分かれます。
ひとつは①莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックス)、もう一つは②結合型ワクチン(プレベナー(7、13、20)、バクニュバンス)と言われます。
最初に発売されたときは
①はたくさんの型に対応(23種類)するが効力が5年くらいで落ちてしまう。
②は長期間効力を発揮する(基本的に再接種は不要と考えられています)が対応する型が少ない。
という一長一短がありました。
①の「ニューモバックス」は2014年から公費助成で接種が始まり65才以上の5の倍数の年齢の人が対象となり接種されてきました。
2024年からは65才のみ(それ以上の人はもう既に対象になったことがあるので対象外のようです)と60以上65才未満で日常生活が極度に制限される基礎疾患を持っている方(肺炎を起こしやすい方たち)のみの対象となっています。
しかし、5年くらいで効力が落ちてしまうので、受けたことがあるのに5年後にはまた受けなくてはいけないという問題がありました。公費助成は1回のみなので、5年後の再接種は自費となります。
②の「プレベナー(7、13、20)」「バクニュバンス」は1回のみでよいのですが、公費助成の対象外なので最初から自費。また、以前は対応する型が①より少ないという面もありました。
そのため今まで肺炎球菌ワクチンを受けておられる方の多くは再接種が必要な①を受けていると思います。
この問題は今後一部解消されます。
おそらく来年から②のタイプで20種類に対応するワクチン(プレベナー20)が高齢者の定期接種ワクチンになるだろうと言われています。
さらに②のタイプで21種類に対応するワクチン「キャップバックス」がこのたび発売になりました。
100種類中でたった21種類と思われるかもしれませんが、実は8割くらいの肺炎球菌をカバーできるとされています(これは経時変化しますので、今のところはと言うデータです)
たとえば「3」という型は2024年の肺炎球菌肺炎の15%くらいの原因となっていたという統計があります(一部の患者を抽出したデータなので全国どこでも同じかどうかは判りませんし、変化していく可能性はあります)
逆に「4」型は検出されていません(検査した数が少ないため出なかった可能性はあるので、意味が無いわけではありませんが、もっと頻度の多いものを対象にするほうが効率的です)
直接比較ではないものもあるので比べるのが正しいかは問題ですが、既存のものは6割くらいカバーと言われているので、今回発売されたキャップバックスはより効果的と考えます。(この比率はワクチンをする人が増えると変化する場合もあるので絶対ではありません。今後変化することがあるのはご承知ください)
このワクチンの発売を受けて「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」が改訂されました。(第7版 2025/9/30 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会ワクチンWG / 日本感染症学会ワクチン委員会 / 日本ワクチン学会 合同委員会より)
今まで5年以上経過してから①のワクチンを打ちましょうと言われてきましたが、①のワクチン再接種の推奨は無くなりました。
このタイプの人は1年以上(5年ではなく)間隔をあければ②のタイプを受けてよいとなりました。その際は②のタイプのうち20種(プレベナー20)もしくは新しくでた21種類(キャップバックス)のものが推奨になります。
②のワクチンは効果自体かなり長期間保つ(一生かどうかはさすがに確かめられていませんが)ので基本的には再接種は今のところ不要です。
なぜ今のところかというと、ワクチンで制圧された型は主な型では無くなります。肺炎球菌自体が減るのですが、敵もさるものでワクチンが対象にしていなかった型が増えることもあるのです。
その未来までは予測できないので、今のところはという話になります。
定期接種で打つならまだ①のタイプしか使えません。そのため選択になります。
上記の合同委員会はさすがに公費があるのに自費を勧めにくいのか ア)の選択肢を提示しています。公費助成があると言っても一部だけなので、②を将来打つつもりなら最初から全額自費で②を打った方が費用は安くなりますね。
来年度は恐らく②のタイプが公費助成になります。そこまで待つのが良いか、それまでになってしまってひどい目にあるかもしれないから早くに受けておくのが良いか。悩ましいところです。どちらにせよ②のタイプを打つことになるでしょう。
今の制度では今後も公費助成は受けられないので(今までは70才、75才なども対象になりましたが、その制度は終了しています)どうせ自費しかない。
受けるか受けないかは個人の考え方ですが、受けるなら②のタイプになるでしょう。
特殊な例として②のタイプのうち15種類対応のものを打って1~4年後に①のタイプを打つと共通する型に関してはブースター効果といって効果増強があるためそれも一応候補には残っていますが、ワクチンのカバー率が優れる20種類のもの、21種類のものを単回打つ方が今のところは主流だと思います。
また、①は保険適応となる場合があります。それは脾臓摘出という手術を受けた人です。
今のところ保険適応があるのは①のみです。
いろいろな条件が重なり複雑になっていますが、
特別な事情が無い限りは①ではなく、②の長期間効果が持続するワクチンがお勧めです。
②のどれをするかは費用面とも相談だと思います。自費診療なので診療所や病院によって値段は異なります。
当院ではカバー率の高い21種(キャップバックス)が良いと思いますのでこのワクチンの接種費用をできるだけ安く設定することにしました。
ただ、新発売で実績が少なく不安に思われる方もおられるかもしれません。20種のものをご希望でしたらそちらも打つことは可能です。
現時点ではどちらも取り寄せになります。念のため1週間前までの予約をお願いしております。予約の際にどのワクチンにするか決めていただく必要がありますのでご了承ください。
| ①のタイプ | ニューモバックス | 9,000円 |
|---|---|---|
| ②のタイプ | キャップバックス(21種) | 12,000円 |
| プレベナー20 | 11,000円 | |
| バクニュバンス(15種) | 11,000円 |
※税込価格
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