睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に息が止まってしまう病気です。
寝ている間なので症状が少なく、見逃されていることが多いですが、脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患、難治性高血圧、糖尿病、心房細動などの不整脈、心不全などを増やすと言われています。
みなさんの中にも、高血圧、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病が脳血管疾患や虚血性心疾患を増やすことをご存知の方もおられるかもしれません。
そういった病気と同様、じつは睡眠時無呼吸症候群も多彩な病気の誘因となるのです。
脳梗塞・脳出血や心筋梗塞、心房細動といった病気になると病院に行って治療を受けられると思います。そのうちの一部に睡眠時無呼吸症候群がそれらに悪影響しているかたがおられるのです。病院の先生もそれはご存知ですが、次から次へとくる重症のかたの治療に追われます。高血圧、高脂血症、糖尿病といった頻度の高い誘因については、血圧測定や血液検査という入院したら必ず行う簡単な方法で見つけることができるので、それらの治療も一緒に行うのですが、わざわざ検査しなければならない睡眠時無呼吸症候群までは手が回らない病院が多いのではと思います。
実際私も病院に勤務しているときは他科の先生(その先生も当然多忙です)に頼まなくてはならないので、まず間違いなくあるだろうという方だけに限って検査をお願いしていました。
開業医というのは、病院の専門医の手が回らないところをこまかく診ていくのが務めと思っており、開業後積極的に睡眠時無呼吸症候群の発見に努めています。
開業してまだ1年未満ですが、睡眠時無呼吸症候群が疑わしい患者さんがかなり多数おられるとわかりました。もちろん検査をして正常という方もたまにおられるのですが、検査を行った多くの方では多かれ少なかれ無呼吸があることがわかりました。
睡眠時無呼吸症候群が気になった方、ご家族や知り合いが睡眠時無呼吸症候群なのではと思った方はご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群の可能性の高い症状は「寝ているときに息が詰まった感じがする」とか「寝ているときにあえいでいるような呼吸をする」というものとされていますが、実際にはそのような症状があるひとはあまり多くない印象です。
「日中の眠気」というのは重要な症状で、運転中の事故などにもつながりますので危険ですが、忙しい方などは疲れのせいと思っていて病気の可能性に気がつかないこともあります。
家族から「いびきをかいている」「日中すぐ居眠りする」「寝ているときに息が止まっている」などの指摘を受けて受診される場合もありますが、独居の方は気がついてもらえないことが多いです。
そういった場合に役立つのがチェックリストです。
いろいろなチェックリストが提唱されていて、単独で睡眠時無呼吸症候群を診断することはできませんしチェックリストの点数が高くても検査をしてみると無呼吸はほとんどないという場合もありますが、検査を受けた方が良いかの目安にはなります。
いくつかチェックリストはありますが、そのうち一つを載せていますので参考にしてください。
睡眠時無呼吸症候群を診断するためには終夜睡眠ポリグラフ検査というものが必要です。
この検査には自宅で容易にできる簡易検査と主に入院で行う精密検査があります。
当院は簡易検査の機器を導入していますので、すぐに検査が可能となっています。
解析を外部委託すると結果が出るまで2週間くらいかかるようですが、当院では翌日持ってきていただいた機械を院内で解析していますので、10分程度で解析が終了します。
診断は1時間あたり何回呼吸が停止もしくは微弱になっているか(無呼吸低呼吸指数 AHI)で判断します。1時間に5回以下が正常ですが、40回以上という重度の方は簡易検査のみで診断して治療して良いと決まっています。
1時間あたり5回から40回未満の方は治療が必要な無呼吸かを判断するために精密検査を行う必要があります。入院が必要ですので、当院では近隣で積極的に検査を行ってくれる病院に紹介して検査してもらっています。
簡易検査では1時間あたりの無呼吸低呼吸指数40回以上が治療対象でしたが、精密検査では20回以上で治療対象となります。これは精密検査の方がより正確に数を把握できるためです。
睡眠時無呼吸症候群の治療には手術や口腔内装具もありますが、第1選択はCPAP療法とされています。
寝ているときは筋肉の緊張がとれるため、舌などが重力に従い後ろに下がってしまいます。その時に、空気が通る気道を塞いでしまうことがあります。これによって息ができなくなるのが睡眠時無呼吸症候群です。
つまり、元々気道が狭い人はより起こりやすいと言うことになります。
最大の要因は肥満ですが、元々顎が小さい、首が短い、扁桃腺が大きいといった方も、通り道が狭くなりますので、無呼吸を起こしやすくなります。
手術や装具で気道を広げたり、筋肉の緊張が取れないように電気刺激の道具を埋め込むという方法もありますが、現時点では効果的であることが長年にわたって証明されているCPAP療法という治療が第1選択(まず最初に選ぶ治療)になります。
CPAPは鼻にマスクを付けて空気を送ることで気道の圧を少しだけ上げて、舌が落ちてくるのをその圧力で支えるという治療法です。
圧をかけるための機械から鼻に付けたマスクまでホースで空気を送ります。マスクははずれないように頭にベルトで固定します。
そんなものを付けたら眠れないと思われる方も多いと思います。しかし、今まで呼吸が止まって苦しくなって十分眠れていない方たちなので、呼吸が楽になってぐっすり眠るようになると、もうこれなしでは眠れないという方も出てくるようです。
当院でもCPAP治療を受けることが可能です。
治療は保険が適応されますので、現在は3割負担の方で月4000円弱となっています。
機器代、レンタル代はそこからまかなわれますので、それ以外の追加費用はありません。
ただし、高額な医療ですのでちゃんと効果があるか、治療が必要な状態が続いているのかを確認することが求められますので、定期的な受診が必須です。通院を中断されると保険で治療を受けられなくなりますのでご注意ください。
どうしてもCPAP治療が受けられない方、CPAP治療の適応になるほど無呼吸低呼吸指数が高くはなかったが、眠気がひどくて治療が必要な方などは体位療法や口腔内装具治療(OA治療)という選択肢もあります。
あおむけでは舌がまっすぐ降りてくるので気道を塞ぎやすいですが、横向きだと気道に対して斜めに降りてくるので上にしている側には隙間が残るかもしれません。そうするとなんとかそこから呼吸できるので、無呼吸の改善になります。
口腔内装具治療は舌が落ちてくるのを装具でできるだけ防ごうというものです。
顎がせまい、扁桃腺が大きいといったひとは手術治療もあります。
顎が狭いかたは顎の骨を切って少しずらして口の中を大きくすることで舌が落ち込みにくくしますし、扁桃腺が大きいせいで気道が狭いひとは扁桃摘出術で改善することもあります。
その他、舌下神経という舌の動かす神経を電気刺激することで舌を動かして気道が塞がるのを防ぐという治療もあります。
CPAP治療が上手くいかない重症の睡眠時無呼吸症候群の治療でこれらは行われますが、手術が必要ということで、少し敷居が高いですよね。
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