痛風・高尿酸血症
痛風・高尿酸血症

健康診断などで尿酸(UA)が高いと言われたかたはおられないですか?
放っておくと痛風になるよと言われてもよくわからないですよね。
尿酸が高いと言われたかたは一度読んでみてください。
さて、遺伝子はDNA(デオキシリボ核酸)という物質で記録されています。アデニン、グアニン、シトシン、チミンなどの名前を聞いたことがあるかもしれません。
そのうち、アデニン、グアニンが代謝されて作られるのがプリン体です。
ビールなどの宣伝でよく聞く言葉ですね。このプリン体をどんどん代謝していった最終産物が尿酸です。
尿酸は血や体液のなかに溶け込んでいますが、これがたまりすぎている病気が高尿酸血症です。
痛風という病気はたくさんすぎて溶けきれなくなった尿酸が結晶として関節などに析出して、強い炎症を引き起こすために起こります。「風が吹いても痛い」というくらい強い痛みだから痛風というという説もあるくらい痛い病気ですが軽症の方もおられます。足の親指の付け根が好発部位ですが他の関節に起こることもあります。赤く腫れ上がり触ると痛いので靴が履けなかったり、びっこをひいて歩いたりされています。
しかし、1週間くらいで改善してしまうのでそのままにされてしまう方もいますし、軽症ですんで病院や診療所に行かない人もいます。
でもここで治ったと思わないでください。
尿酸の結晶は関節腔の壁にくっついて残っていることが多いのです。また、結晶というものは一般的に核があると析出しやすくなります。
そのため一度痛風を起こしたひとはいつでも痛風を起こせる状態ということになります。
その他に腎臓を傷つけたり動脈硬化進展にも関わったりすると言われています。
尿酸は主に腎臓から出ていくので、腎臓が悪くなると体にたまりがちになります。それが腎臓を傷つけるのでまた腎臓が悪くなると言う悪循環になったりします。
尿の中で結晶を作って尿路結石になることもあります。
高尿酸血症・痛風は臓器障害や動脈硬化も起こす生活習慣病の一つです。
尿酸のもとになるものは遺伝子のDNAです。食事から吸収されたものや体の細胞が壊れて出てきたものが代謝されていって尿酸になり、腸や尿から出て行きます。
増える原因としては
尿酸が高いと言われた時に気になるのはビールではないでしょうか。
ビールには尿酸の材料となるプリン体が多く含まれますのでそれは正しいのですが、実はビールではないアルコールも影響すると言われています。アルコールの代謝にはATPという物質を消費するのですが、実はそれはプリン体で分解されると尿酸になります。
また、アルコールは腎臓からの排出を阻害(正確には再吸収を促進)してしまうという話もあります。
もちろん材料であるプリン体を多く含むビールがもっとも影響が大きいのですが、ビール以外なら安心というわけではないことは覚えておいてください。
薬剤のなかには尿酸を上げてしまうものもあります。どうしてもその薬を使わなくてはいけないときもありますので尿酸が高くても使うことはありますが、元々尿酸が高めの人に使う場合には注意して使っています。尿酸値が上がってしまった場合には尿酸を下げる薬も併用することもあります。
逆に尿酸を下げてくれるものもあります。残念ながら、単独で尿酸の治療に使えるほどは下がらないので、高めの人にはそれを選ぶという程度の使い方です。
材料になるものは口から摂るものです。つまり食事からの量が多いと尿酸はどうしても高くなります。そのため食事療法は重要な治療法になります。
どの食品に多くプリン体という尿酸の素が含まれるかは検索してみてください。
ただ、含有率が多くても少量の摂取なら問題ないですし、率が低くても多量にとれば過剰摂取になることにはご注意ください。
ビールに限らずアルコールは尿酸を上げる作用があり、飲み過ぎを避ける必要があります。プリン体が多く含まれるビールが一番尿酸を上げやすいのは事実ですが、それ以外にも尿酸を上げる効果があります。
運動は肥満を避けることで尿酸を減らす効果が期待できるとされますが、激しい運動をしてしまうと尿酸の元であるATPを消費してしまいますし、激しい運動で乳酸をあげてしまうとそれを尿から出すときに尿酸が再吸収されるとも考えられています。激しい運動ではこの二つの面で尿酸があがってしまう恐れがあるので、軽めの運動(乳酸があがらない有酸素運動)がよいとされています。
尿酸を下げる薬には「尿酸の生成を抑制する」ものと「尿酸の尿からの排泄を促進する」ものがあります。特殊な状況で使用する「尿酸を分解する」薬も開発されていますが、クリニックで使うのは生成抑制薬と排泄促進薬となります。薬も副作用が少ないものが開発され選択肢も多くなっています。
尿酸を下げる治療はまずは少量の薬から始めて徐々に増やしていくのが基本になります。その理由は以下の「痛風発作をおこしてしまったら」を読むと判ると思います。
じつは急に下げない方が良いのです。
高尿酸血症を放置すると危険なことは判ってもらえたと思います。尿酸が高い人は尿酸値を正常に保つことが重要になります。
ただし、痛風発作を起こしているときには注意しなくてはなりません。
痛風発作のときに尿酸を下げる治療をすると痛風発作が悪化することがあると知られています。
また、痛風発作は尿酸が急に上がるときだけではなく、急に下がるときにも起こりやすいとされているのです。これはすでに尿酸の結晶が関節内にあるからだと考えられています。
結晶が溶け出したときに付着していた部分が先に溶けると溶け残った部分が関節内にばらまかれて炎症を起こすというのです。
そのため痛風発作が起こっているときは尿酸を下げる治療はせずに、炎症を抑える治療を行い、発作が治まってから尿酸を下げます。その時は少しずつ下げるために少量の薬から徐々に増やします。薬が増えるのはなんとなく嫌だという方が多いですが、不十分な治療は一番損だと思います。薬を飲むという面倒な行為や、おこるのはわずかな人のみではありますが副作用のリスクがある行為をしているのに、効果が不十分というのはもったいないです。
本来の量を飲む前に少しずつ体を慣らしているのだと思っていただいたほうがよいかもしれません。
それと同様に、尿酸降下薬を飲んでいて痛風発作が起こった人はすぐには尿酸降下薬の量を変更しません。増やすのも減らすのも避ける必要があるのでそのまま飲んでください。
発作が治まってから増量することになります。
痛風を起こしてしまってすでに結晶ができてしまっている人はそれを溶かす必要があるので、正常値〈7.0mg/dl以下〉ではなく、6.0mg/dl以下を長期間にわたってキープする必要があります。
尿酸値が上がるときだけではなく下がるときも痛風は起こりやすいので、薬の飲み忘れや薬を飲んだり飲まなかったりは危険です。
上がり下がりが危険ということを考えると、元々尿酸が高い人が焼肉を食べてビールをたくさん飲んだりすると、痛風のリスクがかなり高くなりますのでちゃんと治療して値をよくしてから食べに行きましょう。
ちなみに痛風発作時の尿酸値はかならずしも高くないことが知られています。
尿酸は食生活などで変動しやすいので、痛風発作が起こる前は高くても受診する頃には下がってしまっていることもあるのです。発作の時の尿酸値が少し高いだけだったとしてもそれは安心材料にはなりませんのでしっかり治療しましょう。
痛風発作が起こっているときには治療は炎症を抑えることが主体になります。
かなり炎症が強く、動かすと悪化しやすいので、できるだけ患部を刺激しないようにしましょう。炎症を抑えるのに冷却は効果的です。
それに加えて下記の薬を使います。
日本での治療の中心は鎮痛解熱剤です。どの鎮痛解熱剤も基本的には効果がありますが、保険適応がある鎮痛解熱剤は限られます。
当院では保険適応のある鎮痛解熱剤を使用しています。
基本的に安全性は高い薬ですが、胃を荒らす作用があるので、胃潰瘍などがあると使えません。腎機能が正常の人には問題ありませんが腎機能が悪い人では腎機能悪化のきっかけになったりします。心不全の人でも心不全悪化の可能性があるのでできるだけ少量かつ短期間にします。心不全の方は利尿剤を飲んでいることも多く、利尿剤は尿酸を上げるので注意が必要です。そのため心不全患者さんでの尿酸の管理は重要となります。
心不全に関連してもう少しお話ししますと、
主に高齢の方ではありますが、心不全の予備軍のような段階だけどまだ心不全の症状がでたことがなくて診断されていないという人もいるので、少し厄介です。
そういうひとが痛風に限らず何かの痛みなどに対してNSAIDsと呼ばれる鎮痛解熱剤をしばらく飲んだことで症状のある心不全になることがあります。心不全というのは悪循環になって悪化していくことが知られています。心不全で調子が悪くなるとさらに心臓の負担が増えたり心臓の能力が落ちたりしてそれが心不全をさらに悪化させます。
私も病院勤務時代にたくさんの高齢の心不全患者さんを診療していましたが、鎮痛剤がきっかけで心不全が始まり1ヶ月後くらいについには入院というひとが意外に多かったです。
昔から使われてきた薬ですが、添付文書通りの量では副作用率が高いので少量で使用します。発作の予兆の時期には効果的ですが、時間が経ってしまうと効果があまり出なくなります。
海外では尿酸降下薬を開始するときに発作予防に少量をずっと飲むこともありますが、日本では尿酸降下薬を少量からすこしずつ増やす投与法が浸透していますので必要が無いのではと言われています。そのため私はあまりしていません。
他の薬剤との相互作用にも注意する必要があります。
強力な抗炎症作用がありますが、糖尿病を悪化させたりするので第1選択にはあまりしません。NSAIDsという鎮痛解熱剤が使えない患者さんにも使えるのは利点です。
尿酸を作る酵素を抑えて尿酸になるのを防ぐ薬です。
以前の薬はやや副作用率が高く、たまに強い副作用もあったのですが、新しい薬が開発されて安全に使用できるようになりました。腎臓が悪くても使用できるものが開発されたので、安全で使いやすくなりました。
尿酸の排泄を促進させて尿酸を下げる薬です。強力に尿酸を下げますが、今までの薬は肝障害に注意する必要がありました。こちらにも新薬がでて使いやすくなっています。
尿酸は尿に出てから結晶を作ることもあるので尿路結石対策が必要になります。
また、腎臓から出す薬ですので腎機能が悪くなると効きにくくなります。
尿酸を直接分解する酵素です。特殊な状況でのみ使用しますので、当院で使うことはないとおもいます。
痛風発作を起こしたことがある人は高尿酸血症の治療適応となります。その場合は尿酸を6.0以下に保つように治療します。生活習慣を大きく変えたり、減量に成功したりしたら別ですが、多くの人は薬をやめると尿酸値はあがりますので、なかなか止められないのが実情です。尿酸値の変動が危険ですので止めたいと思ったときは必ず主治医に相談してください。
高尿酸血症を起こしたことがない人を無症候性高尿酸血症と呼びますが、現在の最新の治療ガイドラインでは 9.0mg/dl以上の人は痛風発作のリスクが高いので治療しましょう、腎臓が悪い人、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、狭心症や心筋梗塞という病気を持った人は8.0mg/dl以上で治療しましょうとされています。
こう書いてあると8.0mg/dl未満で痛風を起こしたことのない人は治療はいらないと思いがちですが、尿酸は直近の食生活で大きく変動する数値です。もし、一時的な食事の変化で急に上がって8.0や9.0を越えそうなら、治療してもよいのではと私は考えています。
そのため私は
皆さんの尿酸値はどのくらいでしょうか?
高いと言われた方は一度ご相談ください。
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